World's Wing 翼 Premium 2008 in 大阪松竹座

これはレポではありません。全体的な感想です。もう明日で千秋楽ですがとりあえず、ネタバレはしまくっているのでご注意を。
個人的に思ったことなどを色々と。いいこともわるいこともとにかく感じたことなどを書きとめているものです。やたらと長いのでご覚悟を・・・!





今年は去年とは少々趣向が違い、1幕は物語で魅せ、2幕はダンス(曲ごと)で魅せ、という構成になっていました。
物語で、というのはなんとなくご本人が口にしていたり、そのサブタイトル(Tale of wing)からも推測はしてはいたのですが、始まってすぐにはちょっと付いていけず、ポカーン状態には陥ったりしていました(笑)
一見、ミュージカル?と思うような、無言劇のような、ストーリーというものがあるのはわかるけれども、筋を追って解釈ができない・・、初見では首を捻ってばかりでした。  ネットで色々感想なども読んでいると、大体初見ではそんな状態に陥る方は多数だった模様。私も基本的に、去年のようなダンスダンスダンス!というようなものを思い浮かべていたせいかもしれません。
非常に個人的には、ですが、私は翼さんにミュージカルのようなものは一切求めていなかったし、とにかくあらゆるジャンルのダンスが見たい、それだけの欲求の人間だったので、お話や、お芝居などを見ることになるとは思っていなかったのです。去年のものを見ている限りでは、「ダンスで」何かを表現したいんだなということもとても理解できたし、「ダンスを」もっと磨き上げての内容マイナーチェンジになると思っていたんですよね。だからそもそもストーリーものをやったのにはびっくりだった。 それには、厳密に言うと「ダンスで魅せる」ものとは少し違うように思えたから。 「ダンスの上にストーリーをのせる」ものではなく、「ストーリーの上にダンスをのせる」ことの違和感だったのかな。 ストーリーも、誰が考えたのか(シャチョ?)わからないし、至極解りづらい。(でも筋は王道) 少なくとも、こういうものに慣れていない人、1度しか観ない人には不親切なつくりだったのは事実だと思う。私は、ストーリーを描くなら「わかりやすく、伝わるように」するのは作り手側の義務だとも思っているし(簡単にするという意味ではなく)、いきなり投げかけられて「解釈は人それぞれです」というのはあまりにも、と思ったのだ。*1ほとんどがリピーターというのを前提としているのか、客観視できていないのか、はたまたそこまで伝えたくないのか、はわからないけれど。・・・それは、できればもう少し伝わりやすいように改善されたら嬉しい、と思ったのが1幕の雑感です。
しかし、2度、3度、と見ていくとどんどん楽しくなっていった・・・それは何故だったのか。
一度目はポカーンとしながらストーリーを追うのに必死で、演目自体をよく覚えていなかった。しかしストーリーを構築するひとつひとつの場では、それぞれ色々なジャンルのダンス(に限らず)を見せてくれていて、それがとても楽しかったのです。村の娘たちとの戯れではバレエを、地下の強制労働所ではストンプを、最後の決戦では剣舞を、また、合間合間に細かくダンスが入ったり、リボンで縛られ吊るされといったパフォーマンスもあり、その一つ一つがきちんと作りこまれていて、シーンが移るごとにわくわくするほど楽しめた。だから、毎回見るたびに新しい発見や楽しみ方ができてきて、全く退屈しないものになっていったんだと思います。・・リピーターの楽しみ方だといったらそれまでなんですけどね。
全体のストーリーはわかりづらいものだったけど、その場その場で表現したいものっていうのは解るんだよなあ・・とても伝わるし、1曲1曲ごとの表現もすっごくしっかりしているし。色が統一されていてそれがとても洒落ていて嫌味のない格好よさだし、バックの子達のダンスやフォーメーションがまたすんごく綺麗でそれだけでも見ていて楽しいし・・・
あと、そうだ、ストンプの印象が強いからかもしれませんが、今回わりと全体を通して「音」と「動き」がリンクする気持ちよさ、ていうのを何度も感じてゾクゾクってしたんですよ。人間って単純に、拍と動きのアクセントがピッタリ重なっていたりするとなんていうか本能的に気持ちよくなったりするじゃないですか。(もちろん、ズラす気持ちよさってのもあるんだけど!) そういう小気味よさを至るところで感じられたんですよね。それって身体で感じ取って楽しむようなものなのでうまく言えないけれども・・・。ストンプはまさにそういうものだし、あと剣舞かな、群舞での剣先が全員ピタっ!と同じ角度で止まるところだとかは、見ていてゾクっとしますよ。これはバックの皆さんが凄まじかったからというのが大きいですね。
他にも、全体的な衣装がやっぱりオシャレだ!とか、女性ダンサーさん達がすんごくいい!とか、あとはもうMADおにいちゃんズはじめバックの皆さんの気迫も完成度もすごくて、これはすっごく大きいですね。バレエも、ストンプも、剣舞も、フラメンコも、そういった全然違うジャンルのダンスやパフォーマンスを、全て身体に叩き込まなきゃならない・・・これは相当大変だったはず。きっとものすごい練習量だったのではと。そのおかげかはわからないけれど、MADさんたち去年より段違いにダンスの腕が上がってる・・・!ほんとい感動してしまった・・。もう彼らに向けても盛大な拍手を送りたい気持ちでいっぱいでした。(いや、送ってたけど。笑)
いろいろ語りだすとキリがないので、細かくはまた別記するとして。
2幕のこと。
これは・・・・・これまたいちいち驚かされました。ええと、冒頭のフラメンコはひとまず置いといて・・・
あとはラストの曲以外は全て去年の日生公演でやったものでした・・・・・!いやいろいろびっくりだよ(笑)よく考えたら全部同じってそれ・・!とか思うものw(しかし去年の松竹座公演も2部はほぼソロコンだったので似たようなケースだろうか)
シルエットから始まる全員黒スーツのシックなダンス、水中を模したTake Your Hands、千年メドレー、ダッタン人の踊り(一部抜粋)、アフリカ〜EDGEでの太鼓・・・・・・ほんとうに日生公演のオイシイとこ取りで。・・・・。・・・・だからね、もう、わたし、嬉しすぎて泣いてました。 絶対絶対見られないものだと思ってたんです、DVDにもならなかったし。私、ほんとうに去年のわーるずういんぐが大好きだったんです。どうしてもまた観たい、でももう決して観られない、そういう覚悟をして最後の公演を観たの、今でも覚えてるんです。だからそうやって去年全部しまいこんだ気持ちがどばあああああっっ!!!!って溢れてきてしまって、もうどうしようもなかった。ほとんどが同じ衣装で、同じダンスを、なんてのは。あまりにありえなくて。え、これ夢?夢?現実?え?え?え?マジで?え、もうほんとによくわからないんだけど!?!?!?!?!?と、心ん中でヒーヒー言ってました。 ・・・(´ー`)      そしてこっそり、千年メドレーんとこの三三七拍子が「あ!右足だ!」て思ったり、振付が変わってる・・・!と楽しんだりしながら思いっきり懐かしさを噛み締めていました・・・。なんかもう、いろいろどうでもよくなってきた・・・。懐古だって知るものか(´;ω;`) もう2幕だけだっていいから何度でも観たい!!!・・それほどにですね・・、これらの演目は個人的に思い入れが(´;ω;`)・・・・・・・・・。゚(゚´Д`゚)゚。
さて、フラメンコのことなのですけど。 これがやはり、この公演での一番の目玉ですよね。なんか、なんか・・・・、言い方はすっごく悪くなってしまうけど、「去年のはお遊びだったの!?」ていうくらい、段違いのフラメンコでした・・・。10分間とかって長さが売り(?)になってるっぽいけど、いや長さとかじゃないよね。これは。 一曲・・・という括りかはわからないけど、その中で色々な場面を見ることができてものすごく楽しかった・・・! こちらも後でやっぱり細かく語りたいのですけど・・・・。 ちょっと前にも書いてたんですが、わたし、翼さんのフラメンコでパルマ(手拍子)をすることになるだなんて夢にも思わなくて・・・!!!! パルマって多分、すごく専門的で難しいものだと思うんですけど(だってそれが乱れたら全てが狂うんじゃないかと)、だから客席にそれをさせるなんてのが・・・!絶対やらないものだと思ってて(´;ω;`)  今回のフラメンコでは、中盤に花道のほうへと歩いてきて少し踊った後、翼さん自らが客席に向かってパルマを始めるんですよね。そして客席がしはじめると、スタスタと花道の端まで戻り、今度は細かくタップを刻みながら進んでいく。その、客席に背を向けて花道を戻っていくときに、両手でさりげなくくいくいって客席を煽っていくのが・・・なんかもう、やたらと粋で・・・!!!こ、このひとはこんな気障なことをしてもなんて様になるんだと(´;ω;`)カッコツケじゃない格好良さなんですよね。さりげないのにやたらと印象に残る・・・! そして客席から響く三拍子のパルマに乗せて、細かく、だんだん力強く、タップを踏みながら花道を進むんです。・・上から見てた時に思ったけど、本当にお客さんの中に、あの音の海の中にジリジリと入って進んでいく様が、なんかものすごくて。曲に従ってダンスが、ダンスに従ってパルマが、尻上がりに強くなっていくあの高揚感は、その場の空気でしか感じられないです。自らが煽ったパルマの渦の中に進んでいく翼さんの表情がだんだん悦になっていくカンジもたまらない。あの表情は・・・すごい。 ・・・・・・・。  ・・・・・・・思い出すと涙目(´;ω;`)  あああー!フラメンコのことはやっぱまた個別エントリで!><(書くんかい!) あの感動は、書きとめておきたい。毎回泣いてたからさ。マジで。
・・・と、細かく書かないと言っておきながら大分書いてるんですけど(笑) あとはほんとに全体的な感想というか・・・。
翼さんは、ほんとうに、好きなものや自分の経験、培ったものなどがストレートに舞台に結びつけられる、生かせる人なんだなあと・・。やりたいことがハッキリしていて、でもその方向はただ一点を目指すというより、それに付随するいろいろなことも見たり取り込んだりしていて、視野も狭くない。 ・・そんなところが、わたしがものすごく尊敬しているところ、です。・・非常に個人的なことですけど、自分がずっと、そういうところで苦しんでいたりもするので、だから単純に「いいな」って。素直に思ったりもするです。それにはきっといろいろな努力をしているだろうから、やはりそこもすごいなって。こんなひとの、こんな舞台を見せられたら、自分こんなことしてる場合じゃねえぞって。やっぱりパワーをもらいました。 そして一座のみんなが本当に、この舞台をいいものにしよう、一生懸命全力で、いいものをみせたい、というオーラをばっしばっしと放っていたので、ほんと圧倒されるほどでした。全体がすっごくいい空気で、その空気の中にいるだけで気持ちよくなれるような。とても心地よかった。
ああ・・・、本当にいい舞台だったなあ・・・。なかなかこんなの観れないやきっと!
日生公演がめちゃめちゃ待ち遠しい今日この頃ですが、昨年と同様、日生には盆(回り舞台)と花道がないのでどうなるのか・・・気になるところです。やっぱり盆は舞台上の演出としてとても重要だと思ったので・・(´;ω;`)  わたし、盆でのシーン転換だとかがすっごく好きだったんですよね・・。ばしっ!と全員が止まったまま回っていって、暗くなって・・・とかって。めちゃめちゃかっこいいんだもん。どうなるのかなあ。花道フラメンコも!><


・・・えー、くっっっそ長くなってしまいましたが(やっぱり書き出すと止まらない_| ̄|〇これ2時間以上はかかってるきがする_| ̄|〇)全体的な感想はひとまずこれで。いろいろ吐き出したいと思ってたことが書けてスッキリっす。ここまで読んでくださってありがとうございましたー!

*1:そもそも、観ている側は、作り手側の投げかけたいものを感じ取りたいという欲求は大きいのだから。